この記事でわかること
早期退職、定年退職をした方で、もらった退職金をどうするかについて悩まれる方は多いだろう。
もちろん積極的に投資して大きく増やしたい人もいるし、あまりリスクを取らずに少しでもいいので着実にと考える方もいるだろう。
投資・運用には様々な方法があるので、このシリーズでは、その方法をできるだけ簡潔に整理して、勉強していくことにしたい。
あくまでも、RYO-JAPAN調べの情報であるので、最終的にはご自身でご確認の上、ご自身の責任で投資・運用はご判断いただきたいのである。
今回はまず外貨定期預金について勉強しよう。その前に円定期預金の状況を確認しておこう。
普通の円定期預金の金利状況は?
この低金利時代、普通に円を日本の銀行の普通預金で預けたら、金利は0.001%とかだ。これは退職金を1000万円あずけても、1年後に増える利子は100円だけだ。決して1000万円から減ることはない(元本保証される)が、増えるお金も1年で100円だ。
むしろお金の価値としては減っていることになるだろう。
期限を決めた定期預金ですら、0.01%、いっても0.02%だ。上記の例だと、増えるお金は1000円、2000円だ。繰り返すが、1000万円のお金を拘束(預けて)させて1年で1000円しかもらえないのだ。
さすがの低金利時代である。今はお金を貯めるより、お金を借りる時代と言ってもよい。
こんな中でも、銀行によっては、円定期預金の利率で頑張っている銀行もある。たとえば、オリックス銀行だ。
オリックス銀行の円定期預金の金利は?
1年もので、年0.2%である。上記の0.01,0.02%とかの10倍、20倍の金利だ。1000万円の定期なら、2万円増える(1年後に)。悪くない!?
上記の金利は、「eダイレクト定期預金」のスーパー定期300 (300万円以上の預け入れ)を利用した場合の利率になる。
オリックス銀行、是非、詳細を確認されることをお勧めします。全体的に金利が高い商品が多いです。それでも、0.2%とかのレンジなのですが。
さて、この円定期預金での金利0.2%という数字を覚えておいていただきたい。
外貨預金とは何か?
外貨預金とは、円を外貨(米ドル、ユーロ、豪ドルなど各種)に変えて、金利の高い通貨で増やすものです。
ですので、自分の預けた円は、銀行によって一度外貨に両替されて、外貨で増えていきます。その年利は上記の円の定期預金より高いです。1年後に増えた外貨を、今度は円に両替して、自分の手元に戻されるわけです。
高い利率で増えるのはよいですが、ここで問題なのが、為替レートです。ご承知のように、日々変わる為替レートですから、その影響はがっつり受けてしまいます。
例えば、外貨での年利が5%だとします。1000万円を外貨(米ドル)預金します。預金した時の為替レートを1$=100円とします。
1000万円= 10万ドルです。5%の利率=1年後には10.5万ドルに増えます。約5000ドル=50万円増えたのはうれしいですね!
しかし、この1年後の時点での為替レートが、1ドル=90円と、「円安」になってしまっていたら。これは十分あることです。そうなると、円に両替されて戻ってくるお金は、
10.5万ドル x 90円=945万円になってしまいます!
米ドルでの利子は増えたのに、為替レートが円安になってしまって、結局は、1000万円が945万円に減ってしまったのです!
これが元本割れのリスクと言われるものです。
さらには、この円と外貨の両替を行うために、銀行は手数料を取るのが普通です。これはリスクというより最初から分かっているコストです。この分も、目減りするのが一般的な外貨預金なのです。
上記とは逆に、預けた時より、円高になれば、その分さらにお金は増えるので、必ずしもマイナスリスクばかりではありません。
高い利率+為替メリットにより、外貨預金は大きくお金が増えるチャンスもあるわけです。
代表的な外貨預金の商品を見てみよう
住信SBIネット銀行の米ドル1年定期で2.3%の年利である。先ほどの円定期預金の0.2%の10倍の金利がつく。
ジャパンネット銀行の米ドル3か月定期で年利5%である。(これは3か月ものなので、5%は年利に換算すると、という数字である)5%の年利で利子が増えるのは、3か月だけで、その後は通常の2%の外貨預金金利に戻るのだ(そのまま預けていれば)。最初の3か月だけ金利を上乗せして、新規顧客をつかむキャンペーンということだ。悪いことではない。
いずれにしても、このレベルの利率である。
利率は、外貨によっても異なる。
例えば南アフリカの通貨ランドでの外貨預金の金利は、1年もので6%にもなる。為替レート変動リスクが大きい通貨でもあり、心配ではある。
繰り返すが、上記のような金利の比較だけでなく、為替手数料の確認も必要。銀行手数料も入れた実質利率と、為替リスクを勘案して、外貨預金をするのかどうかを最終判断する必要がある。
じぶん銀行 スイッチ円定期預金のキャンペーンとは?
じぶん銀行が金利上乗せキャンペーン中なので、整理してご報告しよう。
まず、初めてスイッチ円定期預金を使う方限定だ。
そもそもスイッチ円定期預金とはなんだろうか?
スイッチ円定期預金とは?
円の定期預金に聞こえるが、まったくの外貨預金である。
スイッチという言葉が、外貨へのスイッチということのようだ。
他の一般的な外貨預金と異なるのは、
・円で預け入れ。利息は円でもらう。
・元本(最初に預け入れしたお金)は、満期時に円または外貨で返される。
場合によっては、外貨のまま、手元にお金が戻ってくるというのだ。
どういう場合か?
まず預け入れの時、銀行がその時点での為替レート(特約レート)を決める。満期の時点での実勢為替レートが、その特約レートより円安になった場合は、円に両替して円で戻ってくる。円高になった場合には、円に両替せずに外貨のまま手元に戻ってくるのだ。
もし円高になった場合、満期時にその時のレートで円に両替されてしまうと、元本が大きく減るのは、先に為替リスクとして述べた。その場合には、無理に円に両替せずに、お客様、外貨のまま持っていてください。ということだ。
いずれまた円安になってから両替してもいいし(両替手数料が発生するが)、これ以上目減りしないように、多少損しても今のレートで両替してもいいし、お客様が自分で決めてください、ということだ。
このスイッチ円定期預金の金利は高く、現在キャンペーン中で、通常の金利(5.5%)に7%上乗せして、年利12.5%(1か月もの)にするというものだ。ついに年利10%を超えた。
しかし、これも客寄せキャンペーンだ。前述のように1カ月ものだけだ。そのあとは、通常の円普通預金、外貨普通預金の金利に移行するのだ。
いくら金利が高くて12.5%であっても、預入期間が1か月だけだと、単純に円のまま計算するが、
1000万円 x 12.5% x 1か月/12カ月=10.4万円である。この金額をどう考えるかである。1か月での為替リスク、両替手数料、さらには利子にはなんでも税金がかかる。為替が円安に確実に動いていると判断できる状況であれば、1000万円を預けて、このキャンペーンで10万円の表面利子を稼ぐのも悪くないかもしれない。
本キャンペーンの詳細は、こちらのじぶん銀行のHPで確認されたい。
そしてこの商品の内容をよ~~~~く読むと、誤解を招きかねないトリックが見えてくるのだ。
上記までの説明を聞くと、円安になれば、元本もその分増えて戻されるイメージをもってもおかしくないが(自分も最初はそう理解していた)、以下の注意書きを見つけた。全部読まないとわからない場所だ。
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円での払戻しとなった場合、実勢為替レートが特約レートより円安であった場合でも、そのメリット(為替差益)を享受することができません。
要は、円安になっても、元本は最初の1000万円(預入額)しかもどしませんということだ。円安で得した分(為替差損)は、銀行が頂きますということだ。
円安になって利益がでればそれは銀行が取り、円高になって元本が減る場合は、外貨のまま戻すので、あとは自分で処理してくださいね。為替損は知りません。という銀行にはかなり有利な条件となる。
利用者としては、キャンペーンでの12.5%(税引き前)での高い利率は魅力的だが、外貨預金における円安でのメリットは享受できず、円高の元本割れリスクは負わされる。これをしっかり理解した上で判断して頂きたい。
活用方法としては、しばらく使用しない資産を1か月ここに預け、12.5%の利息はしっかり円でもらい、元本は円でそのままかえってくればいいし、円高になって外貨のままなら、しばらく外貨預金で様子を見て、いずれは手数料を払って円に換える。そのプラスマイナスで利益が出れば、普通預金で眠らせておくより儲けもの。という感じか。すぐに次の投資に振り向けたい方にはおすすめできないであろう。
預け入れ、投資の判断は自分で詳細を確認の上、自己責任でお願い致します。