前回フィリピンに行ったのは6月末であった。その際に、現地でエージェントと会い、売りに出ている部屋を見て、購入を決め、予約金を支払って帰ってきたのであった。
写真に写っているのが、そのコンドミニアム、Grace Residencesである。
昨年、妹が購入した時に世話になったエージェントを紹介してもらい、色々面倒を見てもらった。
このようなコンドミニアムは、大手のデベロッパーが、建築・販売・管理を行うが、そこと契約したエージェントが客とデベロッパーの間に入り、購入契約やアフターサービスなど様々なサポートを行うスタイルが一般的だ。エージェントは、個人でやっている人や小さい会社としてやっているケースも多く、レベルは様々だ。良いエージェントに巡り合うことがフィリピンでの不動産売買には重要である。
エージェントと言っても、新築物件を扱う人、中古物件を扱う人、テナントを紹介する人など、不動産投資に関わる中で様々なエージェントが存在する。日本のように、新築も中古も賃貸管理もなんでもワンストップで面倒みてくれる不動産屋さん、みたいなのは稀なようだ。
フィリピンでの不動産投資は、信用できるエージェント探しから始めることになる。
大手デベロッパーには、アラヤグループ、SMDCなどがあり、フィリピンを代表する大企業グループだ。コンドミニアムを建てるだけでなく、街・ビレッジそのものを作ってしまう。
例えば、近年躍進的な発展をとげたグローバルシティ(BGC地区)は、アラヤグループによるものだ。一方でカジノ地区でもあるベイエリア地区はSMDCが手掛けている新都市開発である。このような財閥とも言える大きな組織が中心となって、フィリピンの発展は続いている。
新築エージェントは、このようなデベロッパーと契約して、物件の販売を行うのだ。購入者とデベロッパーの間で仲介するのだ。
一方で中古売買を仲介するエージェントは、売り手と買い手の間に入って、売買を進めていく。こちらは、基本的にはデベロッパーには関わりなく、売り手と買い手間の直接取引となるので、日本人には敷居の高い(リスクの高い)取引ともいえる。これについてはまた後ほど記載しよう。
今回のGrace Residencesは新築物件をエージェントを介してSMDC(デベロッパー)から購入する取引となる。
Grace Residencesの購入
前回のフィリピン訪問時にいろいろ物件を見て回ったのは、以前の記事(以下)に書いた。
購入の動機・理由
購入の動機にはいくつかあるが、
- 将来のフィリピンへの移住、ビジネスを始めるために、長期滞在できる拠点が必要
- 妻や娘に残してやる財産分与として
- 物件価格、物価は上昇を続けており、良い物件は買えない値段になってしまいそう
というのが、コンドミニアム購入の大きな動機だ。
完全引退して移住するのであれば、静かな場所に広い土地付きの家に住みたいが、まだそういう予定はない。現時点では、売買しやすく貸しやすいコンドミニアム購入にしたのである。
Grace Residencesを選んだ決め手は、
- 空港から近く(空いていれば車で10分)、日本からのアクセスが良い
- BGC地区、マカティ地区にも近く、日常生活にも便利
- コンドミニアム敷地のすぐ外に、中規模なモールがあり、車が無くても日常生活に困らない
- 妹が住んでいるので、ファミリーで集まる時に便利
- 賃貸・清掃など、妹にいろいろ面倒みてもらえる
といったところであろうか。
購入プロセス開始
エージェントと会話して、まず信用できそうな人かどうか見極めるのが重要である。
始めて使うエージェントであれば、営業許可証や、身分証明書などをオフィス訪問して確認する事は必須だ。そういう事に対応しないエージェントは使うべきでない。
できれば、現地の信用できる人から紹介してもらうのが良い。フィリピンは、人間コネクションが強い社会なので、紹介・紹介でエージェントに辿り着ける可能性が高い。また狙ったコンドミニアムを対象にしたFacebookグループなどもあるので、その中で実績のあるエージェントにコンタクトするのも良いだろう。
今回はその意味では、妹の物件の売買で実績のあったエージェントを使った。
まずは物件を紹介してもらおう。前回の訪問時には、このGrace Residencesの中で3部屋ぐらい売り物があったので、それを見学。それぞれの値段の概算なども出してもらった。
物件を内覧して気に入れば、購入することをエージェントに伝える。エージェントが物件の予約を進めるための予約金を払い(今回は25,000PHP = 約5万円)手続きを進めてもらう。物件の予約は、エージェントがデベロッパー(今回はSMDC)に対して様々なコンタクトをしながら進めることになる。こちらは待つしかない。
もちろん、支払金額の確認や、支払い方法について、詳細にエージェントから聞いておく必要がある。
全額キャッシュで買えば、ある程度の値引きは期待できるであろう(10%ほど)。
今回は、頭金(Down payment)を22ヵ月の分割で納めていき、22ヵ月後に残金を一括払い(手持ち資金や銀行ローンでデベロッパーには一括で支払い)する方法にした。この時に、22ヵ月分の利子は発生しないので、現金一括の割引はないが、支払いを先に延ばせるメリット(手持ち資金を目先減らさない)もある。
22ヵ月後の残金一括支払いのタイミングで売却してしまう人も多いようだ。それだけ物件の値上がりが速いということでもある。
今回は、購入価格の20%をDown Paymentとして22ヵ月で支払い、残りの80%は22ヵ月後に一括支払いだ。
物件価格以外に支払うお金は?
今回の物件では、以下のような感じだ。
- 物件のリストプライス(a)
- 付加価値税:(a)の12%
- 諸費用、その他:(a)の6.5%
となり、最終支払い額は物件リストプライスの1.2倍という感じだろうか。現金一括払いでの値引きがあれば、リストプライスからその分が引かれる。
エージェントの手数料は、上記の6.5%に含まれるのか、別にデベロッパーからバックがあるのかは不明だ。諸費用には、権利登録(タイトル)の作成費用などが含まれる。
購入プロセス(2)
前回の訪問で、予約金のエージェントへの支払いまでを完了させて日本に帰国した。7月初旬である。
その後、エージェントとは電話やメールで(主に妻が)連絡していたが、なんとも進みが遅い。どういう状況かと聞いても、ちゃんとやっている、進んでいるとの返事。予約はできたのか?と聞いても、デベロッパーにリクエストしている、遅いのはデベロッパーの問題だと言う。このあたりから、かなりこのエージェントに対してイライラしてきたのだ。
今回のフィリピン訪問(9月初旬)中に、室内のデザインも完了して貸せる状態にしておきたかったので、購入契約を早く進めたかったのだが、上記の有り様だ。
進みが遅いと文句をエージェントに言うと、では、デベロッパーに直接スピードアップをリクエストしろと言う。だったらなんのためにエージェントがいるのか・・・
ついには妻もブチ切れてしまい、そのエージェントの上司にクレームし、結局はエージェントを交代させることになった。しかし、それはすでに8月の下旬のことだ。
予約が完了するとデベロッパーから通知が来る。デベロッパーが正式に我々の購入リクエストを確認し、売買プロセスが具体的に始まるわけだ。
その予約完了の通知があったのは、結局、8月22日である。予約完了までに2カ月弱もかかったことになる。なんともスローだ。
指定されたデベロッパーの銀行口座に、22ヵ月の頭金のうちの3か月分を振り込む。
今回のフィリピン訪問前に完了したのはここまでであった。
購入プロセス(3)今回のフィリピン訪問で
残念ながら、今回のフィリピン訪問前までに売買契約の完了までは進まなかった。
売買手続きを完了するために、フィリピン到着後すぐに、新しいエージェントと会い、直接デベロッパーのカスタマーサービスセンターに出向いて売買契約処理を進めることにした。
デベロッパーであるSMDCのオフィス群は、ベイエリア地区にある。ベイエリア自身も、SMDCが中心に開発が進められているIR地区である。
いくつかの書類を用意して、写真のようなデベロッパーのオフィスに行き、書類の処理をしてもらう。Contract to Sell(CTS)という売買契約書の締結である。
この書類がSMDCで確認され、また頭金の支払いが確認されると、SMDCからエージェント経由で、物件の最終チェックができると連絡があった。
すぐに日時を決めて、購入物件の状況をチェックする。
こんな感じだ。
気に入った点は角部屋なので、2面から光が入る点だ。サイズも31平米と、標準の部屋(27平米)より若干広い。
ワンルームというよりは、一応はベッドルーム+リビングキッチン 1LDKという構成だ。横浜あたりのワンルームマンションは17~20平米なので、それよりは広い。
バルコニーからの眺めはこんな感じ。遠くに見えるのはBGCだ。
まあ、部屋のクオリティは決して高くない。日本で言えば、一世代前のレベルだろう。公団住宅的というか。内装は基本はベア(裸)状態で、壁紙や塗装がされているわけではない。新築の場合は、この状態から、自分でデザインする必要がある。賃貸に出す場合も、家具付きが一般的なので、物件の購入費用に加えて、内装・家具の購入費用も必要になるのである。
大きく修正が必要な問題はなく、受け入れ可能と、エージェントには連絡した。これで基本的には、正式な引渡(RFO: Ready For Occupancy)が可能になる。カギを貰ったり、コンドミニアムのアドミン部門と所有に関する手続きをしたりすれば、実際に居住したり賃貸に出したりすることが可能になるわけだ。
結局、今回の滞在中も、居住開始まではいかず、現時点でも、RFO待ちの状態である。
まあ、近々、エージェントから連絡が入るはずだ。以降の作業は基本的に妹に頼むことになる。正式な書類(Power of Attorney)で妹に代理人権限を与えているので、現地で妹がほとんどの事を代行できるのである。
住むため・賃貸するための準備
あまり時間がなかったが、部屋に入れる最低限の家具や家電を見てきた。
家具は決めることができず、この購入も妹にお願いする。
基本的な賃貸方針だが、自分達がフィリピンに行くときはいつでも使えるようにしたい。自分達やファミリーが使わない時は、旅行者やほかの人に貸し出したいのだ。
よって最低限のものを揃えることにしたいが、ある程度の見てくれはないと、AirBnBのサイトなどでは人気がでない。難しいところだ。まあ、そちらは追々対策するとして、まずは近親者に口コミで貸し出すことをメインで考えたい。
ベッド、洋服クローゼット、ソファ、ダイニングテーブル、カーテンといったところか。
家電の方は得意分野なので、すでにオーダーはしてきた。
テレビ、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、湯沸かしポットはまあ必須の定番だが、フィリピンではこういう物も必要になる。新築住宅に付属していないのだ。
換気扇がついていない。排気口もないので、内蔵のフィルタで煙を除去するタイムだ。これをキッチンのコンロの壁の上に自分で取り付けるわけだ。
これは、シャワー給湯だ。部屋にはガスもないので、当然電気のヒーターだ。これをシャワールームに取り付けて、配管すると、ここを通る水が電気で加熱され、温かいシャワーを浴びることができる。安ホテルなどにもこれが付いているが、壊れていたり、温かくならなかったり、トラブルが多そうである。
いくら暑い国とはいえ、やはり温かいシャワーは必要だ。これを買うしかないのである。
こちらも最低限の家電をそろえ、注文して配達待ちの状態である(部屋の引き渡し後に配達)。配達、設置料含めて、17万円程の出費となった。
家具を決めてオーダーし、家電含めて部屋を整え、貸出に対応できるようになるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。最悪の場合は妻だけもう一度フィリピンに行って全部片づけて来る必要があるかもしれない。妹は妊娠中なので、あまり多くのことを頼むのは心苦しいのである。
うまくいけば、10月あたりから、貸出しができそうである。
フィリピン旅行、フィリピン出張に行かれる方は、是非、お声掛けくださいませ!格安でお使いいただけます!
さて、次回は、もう一つの物件、ベイエリアにある物件での出来事について報告したい。