この記事でわかること
以前の記事で、退職金を増やす方法のひとつとして、外貨定期預金について整理した。その制度や、リスク、各社金利比較などがわかった。
この記事でわかること 最近の銀行預金の利子利率状況(普通預金、定期預金) 外貨預金の概要、仕組み、メリット、リスク 基本理解 お得な外貨預金のキャンペーン情報(退職金を増やす方法) 早期退職、定年退職をした方で、[…]
上記リサーチ・分析の結果、自ら、じぶん銀行のスイッチ円定期預金にあずけてみたのが、下の記事だ。
この記事でわかること じぶん銀行 スイッチ円定期預金の始め方 じぶん銀行 スイッチ円定期預金の損益シミュレーション じぶん銀行 スイッチ円定期預金とは 以下の記事で詳細に調査し[…]
4/24から預け入れが開始されており、1か月後に満期を迎える。結果はまた満期時にご報告するので、お楽しみにして頂きたいのだ!
今回は、外貨預金関連情報の第3弾として、楽天銀行の外貨預金を研究しよう。ちょうど、金利アップキャンペーンを実施中である。その中で、キャンペーンに乗せられるリスクも検証していく。
楽天銀行の外貨定期預金の使い方
楽天銀行で外貨定期預金を始める場合、円の普通預金、または外貨の普通預金から、外貨定期預金にお金を移動させることになる。
円を預金すると、自分の円の普通預金口座が作られるのは当然だが、外貨定期預金を始めると、加えて自分の外貨を預けられる外貨普通預金口座というものが作られる。どの銀行もそうである。
要は、外貨定期預金は、円からでも、すでに持っている外貨からでも、始めることができるわけだ。
ポイントは、定期預金が満期になった場合、楽天銀行では、満期後のお金(元金、利子)は外貨のまま、自分の外貨普通預金口座に返ってくる。円に戻すのは、自分で自分の好きなタイミングで両替して、自分の円普通預金口座に入れるということになる。
銀行は、満期時に円に戻すための、為替リスクを負わないということだ。
なお、楽天銀行には、じぶん銀行のスイッチ円定期預金と同じように、満期時に円または外貨で受け取る「楽天デュアル定期預金」もある。
為替手数料
楽天銀行の外貨預金の場合、円で預ける場合も、満期後に円に両替する場合も、為替手数料を取られる。いわゆる、「往復で為替手数料がとられる」ということだ。
現時点での情報だと、アメリカドル 1ドルの両替に25銭の手数料がとられる。これは円→ドル、ドル→円に両替するとき、それぞれにこの手数料がかかるという意味だ。
たとえば、1万ドルの定期預金をする場合に、概算で往復、1万ドル x (25+25銭)=5000円の為替手数料が発生するということだ。
外貨預金は利子の利率は高いが、このように固定的に発生するコストがあることがポイントになる。
1ドルあたりの両替手数料が25銭(片道)というのは、他行に比べて決してばか高いわけではない。しかし、一方で他のネット銀行では片道4銭という所もあり、元金が大きくなれば、かなり効いてくる差となる。
この銀行にとられる為替手数料が、儲けのネックになる場合もあるのだ。
外貨定期預金の始め方
楽天銀行での外貨定期預金の始め方は、特別なものはない。
・楽天銀行のwebより、自分の円普通口座の開設・申し込みを行う。こちらのページから申し込みが可能だ。
・口座ができたら、まずは円で一旦、自分の口座に外貨定期預金するお金(元金)を入れておく。
・楽天の外貨定期預金のページから、お預入れをクリックして指示に従って進める。外貨の種類や、預入れ額など入力するだけで簡単だ。
外貨預金での金利
金利は変動するので、最新の金利は、楽天銀行の外貨定期預金のページで確認して頂きたい。
2019/4/26時点の情報だが、
例えば、
米ドル 1年もので 0.8%, 1ヵ月もので2%だ。これは円から預け入れした場合の金利だ。
外貨(米ドル)から、定期預金に預け入れした場合は、1年もので、たった0.1%になる。為替手数料がとれないので、外貨からの預け入れでは金利も下げるのだ。
住信SBIネット銀行の 1年もの 2.3%にくらべるとだいぶ金利は低い。さらに、住信SBIネット銀行の為替手数料は、1ドルあたり4銭だけだ。
現時点では、残念ながら、他行の条件に比べて、楽天銀行が勝っているとは言えない。これでは他行に比べて、金利面、為替手数料面では競合力はないと言わざるを得ない。(楽天銀行の他のサービスとの連携によるメリットは考慮していない)
楽天銀行 金利アップキャンペーン
2019/5/7までの限定キャンペーンとして、外貨預金の金利がアップする。
楽天銀行のHPから拝借してきたが、御覧のように、1週間ものであれば、年利換算で11.11%に金利があがる。
例えば、1000万円を1週間預けた場合、
1000万円 x 11.11% x 7日/365日 = 21300円 の利子が増えることになる(税引き前)。
しかし、ここで注意が必要である。この短期(1週間、1ヵ月もの)の金利アップキャンペーンにうかつに乗ると、大変なことになる。どういうことが、起き得るか、見てみよう。
1週間後に、高い金利で、上記のとおり21300円相当(1000万円が元金)の利子を受け取ることができる。実際に増えるお金は、利子にかかる税金を約20%と計算しても、約17,000円になる。
これらは、楽天銀行の一般の外貨定期預金の場合、外貨で外貨普通預金口座に戻されるか、または、継続して外貨定期預金を継続できる。
短期と割り切って、1週間で定期預金は終了しても、利子で儲かったのは、17,000程度。一方で、外貨から円に両替しないといけないので、往復で50銭x89000ドル(=1000万円)=約45,000円の為替手数料が発生しているのだ。
儲かる利子は17,000円、しかし、為替手数料は往復で必ず45,000円かかるので、結局は赤字である。
1週間程度の利子では、往復の手数料分の儲けなど、とても期待できない。運よく、為替レートが大きく円安に振れれば、問題ないが。もちろんその逆で、円高になれば、さらにロスは大きくなる。
そうなると、多くの場合は、継続して外貨預金を外貨のまま続けるしか選択肢はなくなる。
そして、この短期キャンペーンで満期の場合、自動継続の場合でも、外貨普通預金からの預け入れ時の利率が適用されるとあり、上記のとおり1年もので、たった0.1%しかつかないのだ。これはかなりエグイ。
0.1%の利率で、円高リスクを恐れつつ、為替手数料分のコストを埋めるという、なんとも実のない話になってしまう。
外貨定期預金を始める場合のチェックポイント
このように、短期での金利アップによる高金利に目を奪われ過ぎてしまうと、いつまでも円に戻せずに為替レートリスクを抱えてしまう外貨の塩漬け資産ができてしまうことに注意すべきだ。
これを防ぐには、最低限、以下のポイントをチェックするべきである。
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預け入れ・満期時の両替コストがいくらになるか
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満期時に円また外貨どちらで戻ってくるか(元金および利子)
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外貨預け入れの場合の利率がいくらか?満期後の利率がいくつになるか?
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高金利キャンペーンの適用期間(1週間もの、1ヵ月ものなど)
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為替レート状況(円高の時の預け入れが望ましい)
ちなみに、ほとんどの場合、外貨預金の資産は、ペイオフ制度で守られる対象外になる。銀行が破綻すると一切戻ってこないリスクが生じる。その意味でも、長期の外貨資産の保有はできるだけ避けたいところだ。
できるだけ手数料コストの低い銀行で、短期の優遇金利キャンペーンを利用して、円高の良いタイミングを狙って、しっかり利益を確保する。これが大事なポイントと言えそうだ。