以前報告した、じぶん銀行のスイッチ円定期預金 1ヶ月 の結果がどうなったかを報告するのである。したくないけど、報告するのだ。
前回の記事はこちら
この記事でわかること
じぶん銀行 スイッチ円定期預金の始め方
じぶん銀行 スイッチ円定期預金の損益シミュレーション
じぶん銀行 スイッチ円定期預金とは
以下の記事で詳細に調査し[…]
自分銀行 スイッチ円定期預金とは?
前記事の復習なので、ご存知の方は、次章に飛んで頂きたい。
ポイントは、
もし、為替レートが円高になった場合には、元本割れするので、その場合は無理に円に戻さず、外貨で持っておいてくれ。円安になったら、その分の為替差益は銀行が頂き、元本はそのままの金額を円で戻す。という極悪非道な条件なのだ。要は、円安差益は利用者は享受できない。
その代わり、通常より若干高い利率が提供される。現時点だと、米ドルで4.5%, 豪ドルで7.5%だ。
さらに今回は、はじめて預け入れするキャンペーンとして、年利7%分の利子が円で還元される。
前回の記事では、米ドルで預け入れの場合でシミュレーションをした。
約1ヵ月前の実勢レートは、111.92円/米ドル
現在のレートは109.3円/米ドル と大きく円高が進行している。直近では米中貿易問題や地政学的問題で、リスクオフが進んでおり、それによって安全通貨である円が買われている傾向がある。それで円高なのだ。
もうこれだけで、結果は見えたようなものだ。前回記事のシミュレーションでは、為替レートを含めた損益分岐点は111.2円/米ドルであった。これより円高になると、利子を含めても損することになる。そして今は109.3円の円高だ。
しかし、惨劇はこれでは終わらない・・・・
実践 じぶん銀行 スイッチ円定期預金 1ヵ月もの 結果報告
記事の中であーだ、こーだ書いていても迫力がない。退職金を増やす方法として記事を書いたのであれば、みずから実践するのが礼儀というものだ。
100万円を元本に、スイッチ円定期預金に預け入れをした。
しかし、その時、目先の欲に目がくらみ、金利のより高い、豪ドルの方を選んでしまったのだ。
以下、預け入れ時のデータである。
特約レートとは、このレートで100万円が外貨に両替され、これを基準に、円高か円安かが判定される。
1か月後
恐ろしい程の、豪ドル安(円高)が進み、判定のための判定レートは75.76円/豪ドルとなった。ほぼその時の実勢レートだ。
預け入れ時に決まった特約レートの78.86円/豪ドルと比較して、判定レートの75.76円/豪ドルは、円高なので、元本は豪ドルで外貨口座にもどされることになった。
それぞれが、外貨口座(元本)、円口座(利息)に入金されて戻ってきたわけだ。
現在のレートで評価すると、12,680.7豪ドルは、実勢レート(75.79円/豪ドル)からすると、961,070円となる。しかし、実際に円に両替すると、銀行に両替手数料をとられる。じぶん銀行の豪ドルの場合、1豪ドルあたり24銭だ。
12680.7豪ドル x 0.24= 3043円となり、実際の円の評価額は、961070 – 3043 = 958,027円となるわけだ。
元本で約42,000円の損。利子で、8159円の利益。
トータルで、33,841円の損 となったのが、現時点での結果である。
完全に、為替レートでの負けである。預け入れ後の豪ドルレートを見ると、
上図のように、もう、見事なまでに一本調子で豪ドル安(円高)が進行した。
2018年から、豪ドル安が続いており、2018年初は87円/豪ドルあった。オーストラリア経済は確実に発展しているが、中国への依存度が高い。米中貿易戦争で、中国経済がダメージをうけるとなると、豪ドルは過敏に安くなるのである。まさに、その真っただ中の1ヵ月に、豪ドル建ての定期預金に預け入れしたという、素人以下の結果なのである。
ちまたでは、逆に豪ドルを売って、儲けるのがトレンドなのに、豪ドルを買った馬鹿である。
良く調べずに、勢いで外貨に投資すると、こういう事になるのだ、という警鐘の意味でも、今回記事にしたのである。
今後の対応方針
米中貿易戦争や、世界景気のリセッションでリスクオフがこのまま進めば、豪ドルはもっと売られる(安くなる。円高になる)であろう。一部では、70円切る可能性まであるという。
損切するなら、すぐにやるべきだ。一方で、6月になんらかの米中貿易戦争の進展があれば、世の中はリスクオンムードとなり、豪ドルも買い戻されるかもしれない。
短期資金で回したいのであれば、すぐに損切。
しばらく寝かせるのであれば、このまま1年の外貨定期預金に放り込む方法もある。
現時点だと、年利0.95%(1年もの)の利子がつく。悪くはない。もう、スイッチ円定期預金ではなく、通常の外貨定期預金なので、為替差益は自分のものだ。銀行にとられることはない。また数年の間に79円ぐらいには戻すだろうと考えれば、無理してすぐに損切する必要はない。それなりに利子もつくのだから(基本的に豪ドル建てで元本保証だ)。
忘れていけないのは、いずれにしても、円に戻す時に25銭/豪ドルの両替手数料を取られるということだ。
さて、いかがであっただろうか。あまりに素人とも言える、外貨預金実践失敗事例を楽しんで頂けたであろうか。
実践してみての感想だが、
外貨預金の利率は、円定期より高いが、それ以上に為替リスクが大きい。今の利率では、よっぽど為替が安定または円安傾向が明らかである場合以外には外貨預金は利用するべきではない。
やはり両替手数料は大きい。銀行によっても差はあるが。今回は片道だけ(豪ドル→円)だが、場合によっては往復で手数料をとられる場合がある。ここも良く調べて判断しないと、とても現状の金利で許容できる手数料に収まらない可能性がある。
じぶん銀行のスイッチ定期預金は、円安になっても、為替差益をもらえずに、利用者が為替リスクをすべて取る必要がある。その意味では、多少金利が高くても、うま味の少ない商品ではないかと思える。
皆さまには、是非とも、よくご検討の上、ご利用されることをお勧めいたします。