早期退職、早期リタイアに向けての基本的知識となる、各種年金についてその基本をこれまで整理してきた。
早期退職、アーリーリタイアに直面して、いろいろ退職後のことを調べたり、考えたりしはじめた。 例えば年金だ。 そんなことは、もっと若いうちから知っていて当然だ、という意見もあるとは思うが、自分の場合まったく無関心であった。極端に言[…]
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国民年金、厚生年金、企業年金の3階建てについてだ。
今回は、さらに、自ら意識をして退職後の年金(退職金)を貯め、若いうちからちゃんと準備しておきましょう!という内容なのだ。
20年後、30年後に退職金ってまだあるの?
これからは、もっと頻繁に転職をしながらキャリアアップしていくことが普通になるであろう。また、日本的な働き方も変わり、年功序列・終身雇用制度もくずれることだろう。
そうなれば、30年、40年と長く同じ会社で働くことで退職時に得られる「退職金」って、将来同じようにもらえるのだろうか?
従来型の「確定給付年金」での退職金支給。すなわち、40年働いたら、これぐらいの退職金をあなたにあげるよ。それに向けて会社もちゃんとお金を積み立てるよ・・・・なんていうのは、企業にとっては負担でしかない。この制度は、明らかに今後衰退していくだろう。
変わって、最近は「企業型 確定拠出年金」制度による退職金制度を多くの会社が取り入れている。これは、企業が毎月一定のお金を積み立てて(確定拠出)それを従業員各自で運用してね・・・というものだ。企業にとっては、運用責任をとらなくてもよいので、将来の退職金額を保証しなくてよい。この積み立てたものは、会社を移っても、新しい会社での積み立てに移行できる(新しい会社で同じ退職金制度を採用している場合)のは、転職する場合には助かる。
いずれにしても、これからは、会社まかせで、いずれは莫大な退職金をもらえるから、老後は心配無用だ・・・なんて漠然と考えていてはダメだということだ。
個人型確定拠出年金 iDeCoとは何か
そのような時代に備えて、自ら意識的に、将来の退職金(年金)を自分でためていくという意識が重要だ。
昔のように、金利が高ければ、毎月の積立貯蓄(銀行に毎月2万円貯金してお金をためる)を将来に向けてやっています・・でよいだろうが、今のように利子がつかない状態では、そのような貯金されたお金はどんどん価値が下がってしまう。
運用によりその価値を下げずに、将来に向けて増やしていくことも考える必要がある。
毎月積み立て+運用による資産増加が個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)の基本だ。とてもシンプルである。
これに加えて、iDeCoには、様々な税金上の優遇が適用されるために、人気になった。
例えば、iDeCoで増やしていった資産を60歳で一時金としてすべてもらう場合、払うべき税金が少なくなるような優遇措置だ。もう少し詳しくあとで整理しよう。
iDeCoの始め方
iDeCoは基本的に会社の退職金とは別の話だ。個人で、自分自身で、積み立て、運用するのだ。自分自身の個人年金制度だと言っても良いだろう。
基本的には、iDeCoを扱う証券会社や銀行などに申し込み、自分の口座(積み立て・運用)を作る。そこに毎月、一定額の積立をしていくのだ。最低は5000円からだが、職業などにより、積立額の上限が決まっている。
- 公務員:月額12,000円が上限
- 会社員(企業年金なし):月額23,000円が上限
- 専業主婦:月額23,000円が上限
- 自営業:月額68,000円が上限
このように、企業年金などの別の手段の少ない、自営業者や主婦などが、毎月たくさん積み立てられるようになっている。要は、このiDeCoで頑張って必要な老後のお金をためてくださいね、ということだろう。
口座を作る(iDeCoを始める)金融機関によって、手数料などは違うので、一番自分にとってよい金融機関を選択するべきだ。それぞれ詳細は金融機関に問い合わせよう。
iDeCoでお金の増やし方
毎月積み立てるので、当然口座にはどんどんお金がたまっていくが、それだけでは普通の積立貯金と変わらない。iDeCoでは、このお金を運用するのだ。どうやって運用するかは、自分で決めるのだ。例えば、積み立てたお金(元本)は絶対に減らさない(元本保証)かわりにあまり増えない安定型の商品や、逆に最悪は元本が減ってしまうことはあるけど、うまくいけば倍になりますというハイリスクな商品や、いろいろ用意されている。その中で、自分で選ぶのだ。
投資信託などで株式投資するのは、後者の方だ。
これを選ぶのはとても難しいが、途中で変えることも可能なので、現在の経済状況などを考えて決めるしかない。
年金のもらいかた
このように、60歳まで、積み立てや運用が可能です。60歳以降になると、いよいよたまったお金を一時金で全部もらうとか、年金として毎年に分けてもらうとかを決めます。(10年以上加入している場合)
通算加入者等期間が10年に満たない場合には、その長さによって受取開始年齢が変わってくる。例えば、51歳で加入した場合には受給可能年齢は61歳以降、57歳で加入した場合には64歳以降と、加入時期が遅くなればなるほど、受取開始の年齢が上がっていくのだ。なので、早めに始めることが大事なのだ!
10年以上加入している人でも、60歳ではまだ働いているので、年金は不要。であれば、60~70歳のいつからでも年金をもらうことが指定できる。その間は運用継続できるのだ。
iDeCoのメリットは何か
ということで、上記のとおり、iDeCoは毎月積み立てながら自分で運用してお金を増やし、そのお金を60歳以降で一時金や年金でうけとることが可能な自分年金制度なのだ。
さらに前述のとおり、各種税制優遇が利用できる。
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毎月の積立金が全額所得控除
例えば、毎月2万円積み立てた場合、年間で24万円になります。これを、他の所得、たとえば給与所得から差し引く(控除)することができます。そうなると、もらった給料が減ったように見えるので、払うべき税金(所得税)が安く済む(年末調整でいっぱい戻ってくる)ことになります。
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運用して儲かったお金は無課税!
これはかなり大きいです。運用で儲かったお金に一切税金はかかりません。普通に自分で株投資で利益が出た時などは、なんと20%近い税金がとられます。それが0%なのです。長年積み立てた大きな元本での運用益もけた違いです。その20%を払わなくていいのは大きいです!
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年金(一時金)として受給したお金への税金も優遇されます
年金でもらう場合に、他の公的年金(国民年金、厚生年金など)と合算した上で、公的年金控除が適用されます。要は、かかる税金が軽減されます。一時金で受け取る場合は、通常の会社からの退職金を受け取る時と同じ、「退職所得控除」が適用されるので、これもかかる税金が大きく軽減されます。
上記のとおり、普通に積み立て貯金したり、株式投資したりするよりも、はるかに有利な条件でお金を貯めることが可能です。もちろん、運用状況によっては、積み立てたお金(元本)が減ってしまうリスクがあることは理解しておかなければなりません。
40歳、50歳はまだ子供や家のローンなどにお金がかかり、とても老後のお金の事などを考える余裕も、積み立てる余裕もない・・・わかります。
しかし、毎月1万円でも、2万円でも頑張れば、10年、20年という長期で運用すれば、大きな資産に育つことでしょう。50歳になって慌てても遅いのです。できるだけ、若いうちから、賢く資産を増やしていくことを考えてみてはいかがでしょうか。