【早期退職】企業年金で理解しておくべき基本とは。メリット・デメリット

サラリーマンの年金の基本について理解しておくシリーズの第3弾なのだ。

以前の記事で、国民年金、厚生年金について基本を整理した。

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日本の年金は3階建てなどと言われているが、特にサラリーマン(公務員)はその恩恵にあずかることができる。

1階は、20歳以上の日本在住者が全員加入する国民年金

2階は、厚生年金に加入している会社のサラリーマンがみな加入する厚生年金

そして今回の3階が、企業年金と言われるものだ。

最近は、いろいろな形での企業年金がある。以前は、いわゆる退職金のすべて、または、一部を年金として運用しながら分割で受給するのが最も一般的であった。いわゆる、「確定給付型企業年金、退職金」などと呼ばれているもので、一般にこれまでは退職金といえばこれだった。

最近は、このような従来型の退職金(年金)ではなく、「確定拠出型」と呼ばれる年金制度が増えている。

確定拠出年金とは、会社や個人が毎月の積立を行い、その運用を個人で決める。60歳まで積み立て、運用し、60歳になると、それを一時金や年金で受け取るという、個人がしっかり意識を持った退職金制度と言えよう。

従来型の確定給付退職金は、企業(および企業の作った基金)に閉じた中で、すべて企業まかせで準備、運用される。会社を変えると、一旦ちゃらになる。新しい会社ではまた1からだ。

確定拠出年金は、移った先の会社に持っていくことが可能だ。そこでまた新しい会社と共同で積み立て・運用を継続することができる。これについては、また別の記事で詳しく調べ・整理してみることにしよう。

確定給付 企業年金とは

今回は、この従来型の確定給付型での企業年金についてだ。要は、いわゆる退職金として、企業が何歳のこの給料の人では、これだけの退職金を払いますよと、払う金額(給付)を決めて(確定)準備・運用するものだ。なので、確定給付型と呼ばれる。

完全に企業に依存して管理されているので、場合によっては、企業の倒産とともに、まったくチャラ(退職金なし)になるような最悪ケースも起こりえるのだ。以前のJAL(日本航空)の再建においても、OBへの年金額引き下げ(約束していた年金を大きく減らす)を行い、訴訟にまで発展している。

大きな会社では、退職金の運用を、会社の外の基金団体などで独立的に行っており、ある程度企業業績とは分離されてはいるが、リスクは残る。

こういう点でも、退職金を一時金でもらうのか、年金でもらうのかが悩ましいのである。

ということで、確定給付型の企業年金は、とにかく黙々と長く働いていると、定年でもらえる退職金の一部であり、大体の企業で、退職時に、一時金ですべてもらうのか、一部またはすべてを年金でもらうのか、などを選択できるようになる。

年金を選んだ場合が、いわゆる企業年金である。

企業年金のメリット・デメリット

一時金でもらうのが、一番確実ではあるが、年金にするメリットもある。

年金にすると、例えば1000万円の退職金のベースを企業が運用しながら(一般的には増やしながら)年金を払ってくれるので、もらえる総額は年金の方が多くなる。

早く死んだ場合に損するような事がないような制度になっているものがほとんどだろう。

一方で、終身年金も選択できる場合には、長生きすればするほどより多くの総額がもらえることになる。自分の場合で先日計算したら、20年固定(60~80歳)でもらえる総額より得するには、終身で85歳以上までもらうという感じだっただろうか。85歳かぁ・・・・元気に生きている自信ないなぁ・・・

ということで、

もらえる総額は、一時金より年金の方が大きくなる

というのがポイントだ。もちろん一時金を自分で運用すれば、それはまた別の話だ。

また、この先、世界恐慌が長期にわたって発生すると、あまり総額は増えない可能性もある。そのあたりが、とにかく退職後も企業任せなのが、デメリットであるとも言えるだろう。退職してまでも企業に依存したくない方は、一時金ですべてもらい自分で運用する道を選択するのがよいだろう。

企業年金にかかる税金

税金面でみてみよう。

一時金でもらうと、退職控除の優遇がすばらしく、税金の支払いはかなり少なくて済むという話は以前に書いた。

一方で年金としてもらうと、かかる税金はまったく異なる。

これについてポイントを整理しよう。

この企業年金を受け取ると、それは雑所得として公的年金(国民年金、厚生年金などの1階、2階部分)と合算して税金の計算がされる。

例えば、その年に、以下の年金をもらったとする。

  • 国民年金:50万円/年
  • 厚生年金:150万円/年
  • 企業年金:100万円/年

これらはすべて、公的年金として合算(300万円/年)された収入として、税金の計算がされるということだ。

公的年金には、その収入に対して特別な控除(公的年金等控除)をしてくれる。

 

公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分以後)
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。)
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

上記の表に照らすと、今回の場合、65歳未満では、

(a)300万円 x (b)75% – (c) 37.5万円=187.5万円が課税対象となる。

要は、300万円まるまるではなく、控除後の187.5万円から税金をとることにするよ、ということだ。

最終的には、その他の収入(給与収入、事業所得、不動産所得、譲渡所得などなど)と、上記の控除後の額(187.5万円)が合算され、所得全体に対して所得税が計算されます。所得全体からは、また基礎控除や配偶者控除、社会保険控除などの控除がされて残った総所得に対してある税率で計算されます。

 

確定申告は必要なのか

一般的に公的年金からは源泉徴収されている。なので、必ずしも確定申告が必要なわけではない。

ただし、公的年金以外にも20万円以上の別の所得のある人は確定申告が必要です。また、めったにないと思いますが、公的年金の合算が400万円を超える場合には、確定申告必須です。

その他、生命保険や、国民健康保険などを払い、各種控除が発生する人は、税金を払いすぎの可能性が高いので、確定申告すればある程度税金が戻ってくるでしょう。

それぞれの方で状況が違うと思いますので、どれくらいの控除が発生するかを正確に把握し、必要に応じて確定申告をするのが良いと思います。

多く払った人(生命保険、健康保険、社会保険などなど)ほど、還付は多くなる可能性があるので、しっかり申告しましょう。

 

今日のポイント

  • 年金でもらう方が、一時金でもらうより、総額は大きくなる可能性大(運用次第)
  • 税金では、年金でもらうと、優遇的な退職所得控除が受けられない(一時金部分のみ適用)分、不利。
  • 企業年金は公的年金として、厚生年金などと合算可能。公的年金に対する、一定の控除(公的年金控除)はある。他の所得との合算で所得税がとられるので、個人の他の収入状況では、結構な税率をかけられる可能性あり
  • 生命保険、健康保険などの支払いが多い場合には、確定申告で税金が還付される可能性あり。
  • 公的年金で毎年一定の収入があると、国民健康保険ですごい保険料を支払うことになる。(以前の記事で書いた件)そこも含めた、一時金or年金 の判断が必要。

次回は、確定拠出年金について整理してみよう。

 

 

     
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