早期退職を目指す 退職金の平均は? マッチング拠出とは? 確定拠出年金とは?

早期退職を目指すにしても、退職金はいくらもらえるのだろうか?

意外に、自分の会社がいくら退職金を払ってくれるのか、自分がいくら貰えるのかを知らない会社員が多いのだそうだ。

早期退職を目指すのであれば、今、勤めている会社の退職金の制度を熟知しておくべきである。

 

退職金の平均相場はいくら? どのくらい退職金をもらえるのか?

 

こちらにちょうど記事があった。 

これによれば、

厚生労働省のデータによると、

なんらかの退職金制度がある企業は、全体の80.5%にのぼる
退職金制度のある会社の割合は1993年の92%をピークに減少してきたが、今回の調査では増加。
2013年は75.5% → 2018年は80.5%
確定拠出年金(企業型)を導入している企業は増加

 

令和の時代、終身雇用制の終焉、退職金制度の終焉などが叫ばれているが、実態としてはまだ、80.5%の企業が退職金制度を持っているのだ。良いか悪いかはともかく、自分が生きている内には、大きくこの制度が変わることはない気がする。この制度からさっと日本企業が脱却できるぐらいなら、今の日本はもっと変わっていたはずだ。

それはともかく、

そういう制度が存在する以上、制度の中身をしっかり理解して、自分の将来にどう活用するのかを考えるべきであろう。

 

確定拠出年金 確定給付年金とは何か

これは退職金制度の基本なので、復習しておこう。

年金という言い方をしているが、いわゆる退職金だ。一括(一時金)でもらえば、いわゆる退職金だし、それを何年かに分けて分割でもらえば年金である。

確定給付年金とは

従来、日本の企業の多くが採用していた退職金制度が確定給付年金だ。

この会社に何年勤めて、退職時の給料がこれだけだったら、あなたにはこの額の退職金を給付しますよ、と約束した退職金制度だ。

主には勤続年数と基本給で決まる。

この約束した退職金を支払うために、企業はお金を積み立て、運用して、退職金支払いの原資にしている。その原資が十分に確保されていないと、会計上は負の資産になってしまう。給付金額を約束してしまっているので、仮に運用成績が悪くても、決めた退職金は払わなければならない。

企業にとっては、大きな経営上の負担になっている。

 

確定拠出年金とは

一般的な確定拠出年金の仕組みとしては、加入者(年金を将来もらう人)が、ある決めた(確定した)掛け金を払い(拠出し)、その資金を自分で運用しながら、貯め・増やしていく。その結果を、退職時に退職金としてもらう(受給する)ものだ。

従って、最終的に給付される金額は運用しだい、掛け金次第であり、あらかじめ保証(決められて)されているものではない。給付額があらかじめ決められている確定給付とか、ここが違うのである。

この確定拠出年金には、個人型と企業型がある。

個人型確定拠出年金

個人型は、いわゆるiDeCoと呼ばれているもので、我々個人そのものが、掛け金を払うものだ。完全に個人年金と言ってもよい。自分の収入の中から、掛け金を積みたたて行き、自分で運用方法を決めて増やしていく。自分がある年齢になったら、その総額を一時金や年金でもらえる。その際に、かかる税金が優遇されたり、掛け金の分が収入から控除されたり、様々な優遇税制が適用される。

個人のお金を掛け金にする(拠出する)のだから、会社員だけでなく、自営業の方ももちろん利用できる制度である。

詳細には、以下の記事も参照ください。

関連記事

早期退職、早期リタイアに向けての基本的知識となる、各種年金についてその基本をこれまで整理してきた。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://ryo-japan.jp/retirement/archive[…]

 

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金は、企業が掛け金を払うものだ。これまでのいわゆる退職金制度は、給与の後払い制度であり、すべて企業がその利益の中から負担してきたものだ。よって、確定拠出といえども、その掛け金は企業が負担しなければ、給与後払い制度にはならない。これまでの退職金制度から移行するには、この企業型確定拠出年金制度が自然なのである。

 

このように、企業型は給与の後払い的退職金制度として、個人型は、老後に備える個人貯蓄的なものとして、最近は、従来の確定給付制度から、移行する企業が増えている、というのが、前述の統計データからも見てとれるのだ。

企業にすれば、運用成績が悪ければ、その分給付額を下げることができるので、企業収益が圧迫されることはない。大きなメリットである。受け取る従業員側も、運用成績が良ければ退職金の額が増える可能性があるのは夢がある話だ(減るリスクも同時にあるのだが)

 

マッチング拠出とは何か

 

前述の記事の中に、マッチング拠出の導入が進んでいる

との記述があった。このマッチング拠出とはなんだろうか?

先の解説のとおり、企業型確定拠出年金は、企業がその掛け金を払うものだ。

マッチング拠出とは、その企業の掛け金(拠出)に、従業員が自分のお金を上乗せすることだ。企業の掛け金の額を上回らない範囲で、自分のお金を上乗せできる。

ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo)もやって、かつマッチング拠出もやることはできない。税金が優遇される対象が増えてしまうからだ。

企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)の併用は可能。ただし、企業の年金規約で併用が認められていなければならない

iDeCoを始める前に、勤め先の企業年金制度をよく確認する必要があるということだ。

確定拠出できる限度額が決まっているので、その枠を超えて、企業型・個人型の拠出を併用することはできない

優遇税制(非課税)を無限に適用することはできないので、非課税になる拠出金の上限値が決められている。その限度額いっぱいまで、企業が拠出している場合には、個人型の拠出は併用できないことになる。

 

そして、前述のとおり、

マッチング拠出と個人型確定拠出(iDeCo)は併用できない

マッチング拠出は、そもそも企業型確定拠出年金に、個人の掛け金を上乗せするものだから、その上さらに個人のお金を掛け金にする個人型確定拠出年金(iDeCo)まで併用するのはダメだよ。というルールなのだ。非課税、税制優遇が必ず背景にあるので、無制限に拠出できるわけではない、ということだ。

個人型確定拠出年金を併用するぐらいなら、マッチング拠出で限度額一杯まで上乗せしても同じだよという考えだ。

 

ちょっとややこしくなってしまった。整理しよう。

自営業の方

将来の老後資金として、個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用を検討する。掛け金の限度額は68,000円/月と高額。これが全額、控除可能(非課税)。将来一時金で受け取る際の所得税も優遇される。

会社員の方

勤め先が、確定給付年金制度(従来型の退職金制度)であれば、個人型確定拠出年金の活用を検討する。老後への個人的な備えとする。

勤め先が確定拠出年金制度の場合、さらに掛け金を増やすために、マッチング拠出または個人型確定拠出年金の活用を検討する。勤め先の規約によっては、個人型確定拠出年金の併用ができない場合があるので、しっかり確認する。税制優遇の限度額いっぱいまで活用できているかどうかを確認要。

 

確かに複雑である。しかし、これまでの企業におんぶにだっこの退職金制度から卒業し、より自分自身が責任を持って退職後の資金確保を積極的に進める時代になっているということだ。

効率よく運用するには、上記のような制度に対する理解、運用のための投資知識、世界経済への見識など、日本人が総じて大人化する必要がある。大人化という言葉に語弊があるのであれば、経済にもっと興味を持つ必要があるということだ。

そうなれば、朝のニュースが芸能とスポーツ情報ばかりという状況も変わってくるであろう。

 

で、随分寄り道をしたが、退職金は平均でいくらもらえるのか?についてだ。

 

退職金の平均はいくら?

前述の記事によれば(厚生労働省のデータ)、

大学卒(管理・事務・技術職):1997万円(2156万円)
高校卒(管理・事務・技術職):1724万円(1965万円)
高校卒(現業職):1627万円(1484万円)

()は2013年の値。

大卒で35年以上勤続すると、約2000万円の退職金がもらえることになる。2013年の比較では、156万円も退職金は減っている。経済成長がないのだから当然ではある。

このまま日本の経済成長が止まれば、退職金はより減ってくる。月給もしかりだ。

60歳で2000万円の退職金だけでは、とても足りない。年金は65歳からなのだ。5年間で2000万円を使ってしまえば、あとは年金(厚生年金)だけで暮らしていくしかない。まあ、最低限の生活しか送れないことになる。

それで良いのかという話だ。

今から毎月積み立てて、税金を節約し、運用で増やし、会社からもらえる退職金や、自分で備える年金を、最大限にする努力は、20代、30代からするべきなのだ。これからの時代、なにもせずに50代になったら、もはや打つ手はない。退職後のことを考えるのは、50過ぎてからで十分、なんて考えるのは、確定給付時代までしか通用しない。

自分の将来は自分の手で作るのが令和の時代なのかもしれない。

     
最新情報をチェックしよう!