早いもので、フィリピンに来てから17日が経過したのである。
まあ、そのうちの7日間ほどは、ホテルに隔離されて、なにも行動できなかったのだが。
今回は、2カ月以上におよぶ滞在期間を予定しており、フィリピン移住に向けての基盤固めを本格的に行っている。
「移住に向けて必要なもの」シリーズでは、どのような準備が必要なのかを、整理していきたいのである。
海外移住 どこに移住するのか?
まずは基本的に、どこの国に移住するかである。現役引退して、日本から離れて、外国で半移住・完全移住を考える方は、今時では少なくないのではないか。海外移住をしたいと希望する人の、その理由は様々であろう。よって、一概に、どこの国がよいとか、悪いとかは言えないわけで、こればっかりは情報収集して、自分の目的にあった国と場所を決めるしかない。
あくまで参考までに、フィリピンを移住先にする場合の私の評価を整理しておこう。
フィリピンは、移住というよりも、セブに語学留学とか、ビーチリゾートへの短期観光というイメージが強いのではないだろうか。南国の島国であり、まだ開発の手が及んでいない、美しい自然が多く残されている。観光地化したがセブはその代表であろう。
写真のように、美しい海と砂浜が広がり、のんびり海をみながら過ごすには良い場所であろう。ただ、物価が比較的高いので、それなりに経済的な基盤が必要になる。あと、美しい海も砂浜もいずれは飽きると思っていた方が良い。ただ漠然と、綺麗なビーチリゾートでゆったり余生を・・・と考えると、すぐに退屈になってしまうかもしれない。日本と行ったり来たりを繰り返す、半移住なら良いかもしれないが・・・
フィリピンのどこに住むかはともかくとして、フィリピンに移住するメリットの大きなポイントには、以下のようなものがあるだろう。
飛行機で片道4-5時間とかなり近い
距離で考えると、韓国、中国沿岸都市、台湾などの中韓系が一番近く、次にフィリピンになろうか。その先のシンガポール・マレーシア・ベトナム・タイなどが6時間程度だろうか。
個人的には、中韓圏に移住したいとは思わないので、4時間で行けるフィリピンというのは、かなりのメリットである。
遠くなれば、行き来する費用も各段に高くなるし、歳を取ると飛行機での長時間移動は苦痛でしかない。いざという時に、さっと日本に帰れることは、海外移住にとっては結構大事なことであろう。基本的な安心感(病気や冠婚葬祭の時など)を確保することができる。
これも個人的な感覚なのだが、飛行機で我慢できるのは、4時間までである。搭乗して、飲み食いして、映画見て、それが終わると、あとはもう苦痛の時間でしかない。4時間だと、ちょうど苦痛が始まるころのタイミングで、もう着陸まであと少しという状況になる。
シンガポールもすばらしい移住先だが、6時間はかかるので、そこからの2時間は結構長く苦痛だ。アメリカ西海岸は8時間ほどか。ヨーロッパにも憧れるが、片道12時間は地獄でしかない。映画見て、たらふく酒を飲んで、ぐっすり眠り、目が覚めた時に、まだロシアの真ん中あたりを飛んでいると、もう絶望で飛び降りたくなる。そこからの6時間はまさに地獄だ。現役時代、よくもまあ、頻繁に日本とヨーロッパを往復していたものだと、今更ながら感心するのである。
移住先が近いというのは、自分にとっては大きなメリットである。遠いところは、たまに、短期の旅行で行ければよい。
物価・生活費が安い
それでも随分とフィリピンの物価は高くなってきた。少し前は、日本の半分以下の感覚だったが、最近では日本と同じレベルの店や場所が増えている。
もちろん、田舎や、庶民の居住区に行けば、かなり安い食料品などが手にはいるが、外国人も多く住む、近代的な開発地域だと、日本と変わらない物価だ。日本で入手できる物が、同じ価格で手に入る。お金持ちの外国人が対象だからだ。フィリピンにもお金持ちが増えてきているが、やはり中国人や日本人などの外国人の方が圧倒的に金持ちである。
物価が安いというのはありがたいことだが、一方でそれは経済力がない、貧困層が多い、治安が悪いなどのデメリットもセットになっているので、これは個人の考え方によって、メリットなのかデメリットなのかが別れるところであろう。
フィリピンの都市部では、庶民区域と近代区域が隣接、混在しているので、買うものによって、場所を選んで買っている。近代区域だけで過ごしてしまうと、そのコストは下手すると日本以上にかかってしまうことになる。
言葉が通じる
かなり多くの場面で、英語が通じるのはやはり助かる。街中の人々も、そこそこ英語は理解してくれる。ドイツで暮らした時よりも、はるかに苦労しない感覚である。
なんだかんだ言って、意思疎通ができない環境で生活するのはストレスとなる。まあ、長い目で、生活しながら現地の言葉を覚えるというつもりであれば、それも良い。いずれにしても、なんだかんだで、言葉の壁を乗り越える覚悟なく海外移住をするのはお勧めできないのである。
フィリピンでも普段はほとんどの人がタガログ語で会話しているわけで、やはり自分もいずれは習得したいと思っているのである。
元気がある
コロナで随分と元気がなくなったが、それはどの国も同じであろう。それまでのフィリピンは、中国マネーが流入し、かなり急速な近代化、高度経済化が進められてきた。とはいえ、ほとんど海外のお金に頼っており、基幹産業のないフィリピンでは、ローカルなフィリピン人に回ってくるお金は限定的である。それでも、昔に比べたら、中間層の生活水準は向上しているのではないだろうか。
現在の大統領が中国にすり寄り、中国からの資本をどんどん導入しているのも大きい。大統領がかわると、これからどうなるか少し心配ではある。この国でも、もはや日本の影響力は低下している。都市部の高層マンションに住み、優雅な生活をしているのは、ほとんど中国人である。
いずれにしても、これからまだまだ国が豊かになっていく将来があるというのは希望である。その中で、どんどん新しいものを導入し、日々社会が変化していく。停滞感がない。ごちゃごちゃしていて、成熟感はないが、変化していく事の刺激を感じることができる。どういう社会で生きていきたいか、これはまったく個人の嗜好の問題である。自分の日本の住まいの近くでは、街を歩く人の90%は老人である。老人が平日の昼間、とぼとぼと歩いている光景が街の姿になっている。そして自分も実はその中の一人なのだ。まだまだそこに埋もれたくない。
自分の場合は、単に余生を過ごすための移住ではなく、新たな商売や仕事を立ち上げるなどの変化欲がまだ大きいので、チャンスの多い成長途上のフィリピンには魅力を感じるのである。
成長途上とはいえ、都市部であれば生活に困る不便さはない。交通手段、通信手段、キャッシュレス支払い、宅配サービスなど、日本並み、それ以上の部分もある。
フィリピンの問題点
移住する上で、数多くのデメリットもある。海外で生活するのだから、日本で生活するのと同じなわけはない。プラスもあれば、下手するとそれを上回るマイナスもあるのは当然で、それを認識しない方は、海外移住などはやめた方がよい。
世界で一番住みやすい国は日本なのだから。
フィリピンの一番の問題は、やはり治安問題であろう。
これは無料で安全を享受している日本人にとっては、大きなハードルとなる。暴力的な治安の悪さもあるが、日本人から金をだまし取ろうとする経済的な治安の悪さも相当である。中国人より日本人の方がだましやすいと分かっているのであろう。今でも、いろいろな人間がお金のにおいを感じて寄ってくる。
貧民層が多いという事は、すなわち、お金のために人を殺すのも平気な人がわんさかいるということだ。それもそんな金額で?というレベルで人を殺すのだ。こちらでは、人の命の値段はとっても安いと自覚しなければならない。
とはいえ、以前に比べれば、はるかに安全である。近代都市部では、あらゆる店やマンションに多くのセキュリティが銃を構えているし、取り締まりなども厳格化されている。ほんのちょっと前は、交通違反なども、その場でちょっと警官に袖の下を渡せば済んでいたが、最近はなかなか許してくれないようだ。そういうルーズな部分が、大統領によってかなり積極的に一掃されているようである。
長くなってしまったので、今回はここまでにしたい。
次回からは、そのフィリピンに移住するために必要なものを整理していきたい。
続く