2019年3月29日金曜日、ついに最終出勤日を迎えたのだ。
週末をはさみ、来週月曜日になっても、会社に行くことは二度とないのだ・・・・変な感じ。まだ実感はわいていなかった。
退職日の過ごし方
昔から、自分がこの会社を退職する時はどんな感じなのか、どんな気持ちになるか、などと想像してみたこともあったのだが、本当にその日がやってきた。
普通であれば、定年退職や転社するのは、一度にそう大勢ではないので、しんみりというか、注目の的というか、寂しく侘しい感じで、会社を感傷的な気持ちで去っていくのかなぁ、などと勝手なイメージをしていたのだが。
今回は、大勢の人が早期退職ということもあり、そしてちょうど年度末で、会社の今後の体制も4月から大きく変わるタイミングにも重なり、退職者だけでなく、現役メンバーも含めて、朝からなんか職場が慌ただしい。
そう、どちらかというと、年末の大掃除的な賑わいというか、あわただしさというか。
そんなちょっと意外な雰囲気で朝がはじまったのである。
日中も、やはり片付けや資料整理などは最後の日がピーク。みな、特に退職者は慌ただしく身辺整理に追われている。
もちろん、いろいろな他部署からお別れの挨拶に来て頂いたり、こちらからオフィスのいろいろな場所にご挨拶に伺ったりと、やはりどう考えても、慌ただしさは年末級だ。
書類やデスクの上を綺麗にして、また年末年始休みが終わったら、普通に出勤しそうな感じ。
ここに二度と来ることはないと、余韻に浸る隙はないのだ。
最終日 最後の瞬間
ああ、こんなもんなんだなぁ。想像してたより、あっさりと退職日は過ぎていくもんなんだなぁと、それはそれで自然な感じでよい。
特に親しかった方からは、お別れの品を頂戴したり、お別れのあいさつを交わしたり、やはりそれは寂しさと退職の実感を増すありがたい瞬間であった。この皆さんと、自分の最終日を一緒に迎えられたことは、本当に幸せな会社員生活だったと、しみじみ感じる。
予定よりちょっと早かったが、やはり後悔は微塵もない退職であった。
気恥ずかしというか、照れくささもあって、逃げるように、職場を後にした。まるで、いつもの帰宅と変わらない感じであっさりと。
エレベータに乗り、建物を出る。一応記念に自社ビルを背景に一人で自撮りしたりして。
淡々とことは進んで、ついに会社の門を出る時がきた。
やはり満足感や安堵感が大きく、寂しさや感慨という、情緒的な気持ちはほとんどなかった。
まあ、実際にはこんな感じなのかな。もうちょっと感傷的になるかと思ったけど、今日はこんな感じでよかったと思っていた。
会社の門を出るその瞬間
門を出るための退職者が必要な手続きをちょっとやって、ゲートをくぐる。時間がまだ早かったので、門には人もほとんどおらず、大荷物をかかえていかにも本日退職ですみたいな自分が手続きしていた。
さっき書いたような、結構さっぱりした気持ちで淡々とゲートを出た瞬間だ。
そこにいた守衛のおじさんが、「長い間お疲れ様でした」 と言ったのだ。
面識がある人ではない。なぜか、なぜか、近しい人に囲まれてハッピーに終えた最終日なのに、その言葉を見知らぬ守衛さんに言われた瞬間に、いきなり鼻の奥がぬるぬるになった。
ありがとうございます、と返すこともでない。言ったら、「あでぃがどぅぅごだいまづぅぅ」になってしまいそうだからだ。不自然に会釈だけして駅につながる歩道橋にダッシュした。
思いがけないタイミングで、最近ずっと入れっぱなしだった「感動して泣かないスイッチ」をオフしたばかりの状態での言葉だったからか。
理由はわからない。
けど、ありがとうございます、守衛さん。
昔から想像していた通りの感傷的な気持ちになって、会社の門を後にすることができました。
お礼を言えなくですみません。守衛さんもお仕事頑張ってください。こちらこそ長い間ありがとうございました。
こうして、自分の会社員としての、最後の1日が終わったのでした。