早期退職 退職後の源泉徴収票の入手 その使い方。確定申告は必要か。

 

2019年3月末日で早期退職したわけだが、その後、会社から源泉徴収票が送られてきた。

これは一体、何に使うのだろうか? 早期退職、定年退職後の、税金の支払い、還付について全体を整理したい。

税金は、ちゃんと理解して申請手続きをしないと、向こうから親切に返金(還付)してくれるものではないので、必ず理解して、自ら申請手続きなどを適切な時期にやらないといけない。

税金の払いすぎは、ちゃんと自分で適切な時期に申請しないと、返金(還付)されないので要注意!

 

この記事でわかること

サラリーマンの税金の払い方(基本)。源泉徴収票、年末調整とは何か?
早期退職、退職後に会社から源泉徴収票が送られてくる理由
送られてきた源泉徴収票をどう使うのか?
退職後の確定申告は必要か?そのメリットは?

 

 

サラリーマンの税金の払い方(給与天引き)、 源泉徴収票、年末調整とは何か?

これは基本的な話なので、理解されている方も多いと思います。その場合は、次の章にお進みください。

 

所得税、住民税の払い方の仕組みの違い

今回は、所得税を中心に説明していきます。サラリーマンの給与所得に対する税金は、大きくは所得税と住民税(地方税)があると言えます。

所得税も、住民税も、ある1年(1/1~12/31)間の収入に対して、ある税率で徴収されるのは同じですが、以下の違いがあります。

所得税:今年(例えば2019/1~2019/12)の収入に対する税金を、今年の毎月の給料から天引されている(払っている)
住民税:去年(例えば2018/1~2018/12)の収入に対する税金を、今年の6月から1年かけて払う。
住民税の支払いの仕組みはちょっと複雑ですので、以下の記事でわかりやすく解説してあります。是非一度ご覧くださいませ。
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上記のとおり、所得税は、まだ今年の総収入額が確定していない状態で、毎月ある率での税金が天引きされているのです。本当は、今年の総収入が確定しないと、所得税の税率も確定できないのにです。要は、仮の税率で、まずはいったん毎月、所得税を給料からとられている(天引きされている)わけです。
この仮の税率は、すでに確定している前年の総収入から決定されます。今年も、前年とほぼ同じ給料だろうから、同じ程度の所得税で一旦、今年も毎月税金納めておいてね・・・という考え方です。サラリーマンの給料がそうそう上がらない前提に腹が立ちますね!
一方で住民税は、上記のとおり、すでに確定している前年の総収入額に対するものを今年払う仕組みなので、税率・税額は確定されています。払うべき金額を今年も毎月払っていくのです。

年末調整とは?年末調整はなぜ必要なのか?住民税は年末調整されるのか?

取得税については、上記のとおり、今年(2019/01~2019/12)の給料からは、前年2018年1年間の総収入に基づく税率で、天引きされていきます。でもこれは仮の税率でしたよね。もし、今年の収入が前年の収入より増えたら、もしくは減ったら、払うべき税金の額も変わってきますよね。
なぜなら、所得税の税率は、累進課税方式であり、収入の額によって、下表のように税率が変わってくるからです。
極端な例でいうと、
前年の総収入が1000万円とします(正確には課税所得がですが)。上の表から、税率は33%だとわかります。
ですので、今年も同じ収入がある前提で仮の税率が決まりますので、今年の給料からも税率33%で所得税が天引きされることになります。
しかし、もし、今年の実際の総所得が、半分に減ってしまったら(500万円)・・・税率は20%で良いはずです。
要は、今年は毎月、より高い税率で所得税を払ってきたことになります。
これがわかるのは、今年の総収入額が確定する2019年12月です。それまでは、払いすぎたのかどうか判断できません。
ですので、今年の総収入額が確定する今年の12月の末に、今年払うべき所得税の額(税率など)が計算(確定)され、今年毎月天引きされて払ってきた所得税額との過不足分が清算(調整)されるのです。このことを年末調整と言います。
上記の例の場合、今年の総収入は500万円に減ったことが確定されてますので、これまで税金を払いすぎていた(今年も1000万円の収入がある前提で払ってきたため)ことになります。その払い過ぎた分が12月の年末調整で戻ってきます。返金されるのです。このような人は、12月の給料の手取りがぼんと跳ね上がりますね。あれは、こういう仕組みで税金が戻ってきたからなのです。
Ms.X
仮の税率で払っていた税金が返ってくるのが年末調整なのね!
RYO-JAPAN
必ずしも返金されるだけじゃないよ。追加徴収されるケースもあるんだよ。
Ms.X
そっか、今年の収入が物凄く増えちゃった場合とかね
正確には、このほかにも、本来今年払うべき所得税が増減する要因がいろいろあります。税率だけでなく、給料収入から控除される金額が変わる場合があるからです。例えば、今年のどこかで結婚したり、子供が生まれた場合、扶養家族が増える場合があります。扶養家族が増えると、税金の対象にならない控除額が増えます。実際の所得税は、給与収入からこの控除額を引いた課税所得に対してかけられるので、払うべき税金が減るということになります。
このように、収入の変化、控除額の変化などで、今年払うべき所得税の確定額と、これまで天引きされてきた仮の税金支払いの差を清算するのが、年末調整になります。
ちょっと面倒ですが、年末調整とは何か、ご理解できたでしょうか?
この年末調整ですが、基本的には会社が全部やってくれますよね。サラリーマンが会社からの給料だけを収入としている場合には、このように、年末調整で税金の支払いと清算が完了しますので、自分で税務署に税金の申告・支払いを行う確定申告をする必要がないわけです。
一方で住民税ですが、前述のとおり、すでに払うべき住民税を今年も毎月払ってきているので、年末に差額精算することはありません。よって、住民税が年末調整されることはない(税金が戻ってきたりすることもない)わけです。

早期退職、退職後に会社から源泉徴収票が送られてくる理由

早期退職にしろ、定年退職にしろ、1年の途中で辞めるケースがほとんどでしょう。
例えば自分の場合は2019/3月末の退職でした。
その場合、その会社からは、1月、2月、3月分の給料をもらっており、そこからは、上記のとおり仮の税率での、所得税が天引きされています。
その年に会社に在籍している間、いくらの給料をもらって、いくらの税金を天引きされたのかを、ちゃんと知る必要があります。それが、源泉徴収票です。必ず、この源泉徴収票を会社から入手しておいてください。
この後の章で記載しますが、退職後に再就職する場合にも、しない場合にも、この源泉徴収票は必要です。
ですので、退職後に、会社は必ず源泉徴収票を発行する義務があります。必ず入手しましょう。

源泉徴収票をどう使用するのか。退職後にやるべき税金の清算

会社を退職してしまった場合、それが12月より前(12月に年末調整を完了する前)に退職してしまった場合、その年の年末調整をしてくれる会社に属していないことになります。誰も、税金の調整をやってくれません。
逆に、退職後に再就職して、その年の12月には新しい会社に就職している場合には、その会社が1年分の年末調整をやってくれます。ですので、事前に、前の会社でもらった給料や天引きされた税金、すなわち前の会社からもらった源泉徴収票を、新しい会社に通知(提出)しておく必要があります。
当然、新しい会社からも、提出が求められるでしょう。それは、新しい会社が正しく、その年、1年間分の年末調整をやるためです。
このように、
取得した源泉徴収票は、新しい会社に提出し、年末調整を正しくやってもらうために使うわけです。
では、もし、12月に新し会社に勤めていない場合(無職のままの場合、自営で仕事をしている場合など)、これは自分で払った税金の調整を行うしかありません。これを確定申告と言います。
年の明けた2月中旬から1ヵ月間に、今年分の確定申告をすることになります。
この時、今年もらった給料の総収入と、天引きされた取得税の差額を調整することができます。そのために、この源泉徴収票を提出する必要があります。自分が、いくら給料をもらって、すでにいくらの税金を払っているのかを証明できるからです。
もし、税金を多く払いすぎであれば、返金(還付)されます。逆もあります。
もちろん、確定申告では、この給与所得の確定だけでなく、控除額の確定、その他の所得に対する税金の支払いなど、この1年の間の収入や支出全体に対する税金支払い・還付の手続きとなります。
12月時点で再就職していない場合には、翌年2月の確定申告で、源泉徴収票を提出し、税金の調整を行うために使います。
今年は退職前に会社からの給料からしか収入がなく、退職後は再就職せずに無収入になった場合、退職した時期によっては今年の年収は昨年に比べて大きく下がりますので、確定申告すれば、税金の還付を受けられる可能性があります。払いすぎの税金をそのままにしないように注意するべきです。

退職金、失業保険をもらっているのだけど、確定申告は必要なのか?

上記のように、退職後に確定申告する場合ですが、
失業保険の給付を受けている場合、それは、課税対象にはなりません。よって、所得税を払う必要がない収入になりますので、確定申告に含める必要はありません。
退職金(一時金)も同様に、退職金(一時金)は分離課税で、その年の他の収入とは完全に切り離して税金を納めます。その税金は、退職金を会社から貰う時に、計算されていて天引きされています(これも源泉徴収のひとつ)。ですので、基本的には、退職金(一時金)の収入も、確定申告に含める必要はありません。
ただしもし、手続きの問題で、退職金から源泉徴収されていない(税金が天引きされていない)場合は、自分で確定申告して税金を払う必要があるので、注意してください。会社に、「退職所得の受給に関する申告書」という書類を退職時に提出していれば、天引きされているはずです。天引きされていれば、確定申告は不要になります(退職金に対しては)。
さらにしかし、もし退職金のすべてまたは一部を年金としてもらう場合、今年すでにその年金を受け取り始めている場合には、そこからも所得税が源泉徴収されています。その天引きされた税金の最終調整をするために、他の公的年金や収入などと合わせた確定申告が必要になる場合があります。
このあたりの具体的にどのように確定申告するかは、また別の記事で詳細に解説することに致します。
失業保険、退職金(一時金)に対しては確定申告は不要。
退職金を年金でもらっている場合には、他の収入とあわせて、確定申告が必要となる場合がある。

退職後の確定申告は必要なのか? まとめ

上記のとおり、退職後のその年末に、再就職先で年末調整をしない場合、確定申告をすると、税金が還付される場合があることがわかりました
特に、昨年に比べて、今年の収入が大幅に減った場合などは、税金が戻ってくる可能性が高いです。
また、退職後含めて、一定額以上の収入や、公的年金(企業年金含む)がある場合には、そもそも確定申告が必要になります。
確定申告については、詳細にまた別記事で整理します。
今回は、退職時に送られてくる給料に関する源泉徴収票をどのように使うのかについて整理しました。
来年の確定申告に向けて、やるべきこと、準備すべきことを、これから一緒に進めて行きましょう!
     
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