早期退職を決断する時に、退職金の割り増し、加算金をもらうのと、60歳定年まで働くとき時に、どちらが得か、経済的に楽なのかを比較する事は誰もがやるだろう。
一般的には、特に早期退職する年齢が若い程、働き続けた方が得ということになるだろう。
自分の場合は57歳と、定年まで3年、加算金も結構期待できるという状況だったので、下の記事では、税込み収入的には加算金をもらう方が得する結果になった。
ついに、早期退職を決断したのだが、どちらかというと仕事の内容による理由が大きかったのは前の記事で書いた。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://ryo-japan.jp/r[…]
では、税金はどうか? 手取りの金額で比べないと意味がないので、それを比較したいのだが、これが難しい。退職金の税金は比較的簡単なのだが。
下の記事で計算してみたが、もし9500万円の退職金を貰えると、手取りは約7840万円だった。
前の記事で、早期退職の退職金加算は4950万円と設定した。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://ryo-japan.jp/retirement/archives/42/] 退職金950[…]
ここでは、60歳定年まで働き続けた場合の手取り収入をざっくり計算してみよう。前の記事のとおり、60歳定年まで働き続けた場合の収入の想定はこうだ。
- 2019/04~2020/03 : 年収1850万
- 2020/04~2021/03: 役職定年で年収は70%に。1295万円
- 2021/04~2021/12: 定年退職。年収は970万円(9か月分)
少し単純化するために、平均年収で計算してみよう。上記の平均年収は1480万円となり、これで2年9か月働く計算になる。
実際の税金計算は非常に複雑だが、給与所得が年収1480万円の場合、まず給与所得控除は220万円になります。
給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除
給与所得控除額は、給与収入によって変わりますので、ここの国税庁のページで確認してください。1000万円を超えると、控除額が最高の220万円になります。
ということで、今回の場合、給与所得は1260万円 (1480-220)になります。
さらにここから所得控除が差し引かれる。所得控除には、例えば、基礎控除、社会保険料、生命保険料、扶養控除など、各人の状況により個別に計算される。人によって違うわけだ。独身と家族持ちでも違うことになる。
所得控除額は現在の控除額をそのまま使うと約250万円となる。
課税総所得 = 給与所得 - 所得控除
したがって、課税対象となる総所得は、1260万円-250万円= 1010万円となる。この総所得に対して、その額に応じた税率を掛けたものから、さらに控除額を引いたものが、所得税になる。
所得税 = 課税総所得 × 税率 - 控除額
1010 万円の課税総所得に対する税率は33%で控除額は153.6万円なので、所得税は、 1010 × 0.33 -153.6 = 約180万円になる。
住民税は、総所得の10%だから、約101万円。所得税と合わせると、結局、1480万円の年収に対する税金は281万円になる。
1480万円の年収の手取りは約1200万円
60歳定年までの2年9か月をこの手取りで働いた場合の手取り総額は、3300万円ということだ。
整理すると、
税込みの場合:
- 早期退職での加算金: 4950万円
- 定年まで働き続けた場合の総収入:4115万円
手取りの場合:
- 加算金の手取り:4085万円 (退職金全体の手取り7840万円より換算)
- 定年まで働き続けた場合の手取り総額:3300万円
このように、手取りで比較した場合、また損得の見え方が違ってくる。税込みでは、加算金は働いた場合の給与総額の1.2倍もらえるが、手取りでは1.23倍と、わずかではあるが加算金の得さ加減が強まる感じだ。
具体的な数字は人によって違うし、厳密にはもっと複雑な計算での比較が必要ではあるが、もらえる加算金と定年までの見込み給料を比較する場合には、税金を考慮した、実際の手取り額で比較する必要があるということは留意しておきたいのだ。