海外での不動産投資をする場合に、まとまったお金を海外の銀行口座に現地通貨で送金する必要がある。フィリピンの銀行に送る方法を調査、実践したので、ご報告したい。
現地(フィリピン)の銀行に送金先となる普通預金口座はすでに開設済である。
前の記事で書いたように、フィリピンでの拠点づくりと投資のために、コンドミニアムを購入中である。早々に、購入資金をフィリピンで用意する必要がある。もちろん元手は日本に円であるので、これを両替して、現地銀行口座に送金する必要があるのだ。
セブへ留学する場合なども、まとまった生活費を現地に送る必要があるだろう。同じ話である。
以前に米ドルの両替と海外送金については記事にした。
ここでは、米ドルへの両替であったために、FXの活用をその方法として記載したが、フィリピンペソを両替できるFX取引を筆者は知らない。よって、FXを使った手法は使えないのである。他にどのような方法があるか調べたので、報告したい。
TransferWiseでフィリピンペソを送金する
TransferWiseは、非常の低コストで外貨送金ができるサービスである。
このサービスでは、実際に銀行間などで国を超えたお金のやりとりは発生しないのだ。例えば、フィリピンに日本から送金したい場合、日本円を日本のTransferWiseの指定口座に振り込む。入金が確認されると、今度はフィリピンにあるTransferWiseの口座から入金した日本円分のペソが指定したフィリピンの口座に振り込まれる。
要は、実際にお金の移動が発生するのは、日本国内のみ、と、フィリピン国内のみなのだ。コストのかかる2国間でのお金の移動が発生しないのだ。
このために、非常に安い手数料でフィリピンに送金できる。
また、円とフィリピンペソの両替レートも、いわゆる手数料を上乗せした銀行レートのようなものではなく、公開されているミッドマーケットレートである。
例えば、記事執筆時点での公開レートは、0.472PHP/円である。TransferWiseでは、このレートがそのまま使われる。
100万円を送金する場合は、以下のとおりとなる。
送金手数料:9469円 を差し引いた 990531円 * 0.472 =467530PHPがそのままフィリピン口座に入金されることになる。
非常にシンプルである。
手数料は、通貨や送金額によって異なる。送金手続きの際に明示される。上記の場合だと、送金額(100万円)の0.95%程度である。
1回の送金限度額は、100万円であった。
利用するには、以下のページから、新規会員登録を行う。
Banks charge a lot for overseas transfers. We don't. Transfe…
非常に簡単で、個人情報を入力する。また、マイナンバーカードのアップロードも必要になる。住所確認の書留郵便が送られてくるので、送られてきたパソコードをwebから入力することで住所確認が完了となる。住所確認が完了すると、10万円以上の送金を繰り返すことが可能になる。
TransferWiseで1000万円を送金する場合は、上記を10回繰り返す必要がある。
送金金額:1000万円
手数料:94690円
入金額:4675300PHP (0.472)
となる。
実際にwebから会員登録を行った後にすぐに9万円を送金してみた(10万円以上は、上記の郵便による住所確認完了後でないとできない)。操作はwebから極めて簡単であり、入金も同じ日にフィリピンの銀行口座に完了したことを確認した。
非常に簡単で早く便利である。まったく問題なかった。
三菱UFJ銀行 外国送金
大きな金額を1度に送金するには、やはりメガバンクからの送金が安心ではある。三菱UFJ銀行を利用する場合を調べてみた。
三菱UFJ銀行では、フィリピンペソの外国送金が可能である。銀行によっては、フィリピンペソを扱っていない場合もあるので注意したい。
オンラインバンキング(三菱UFJダイレクト)の場合:
手数料 3000円 + 送金金額の1/20%
1回の送金は、100万円相当まで
窓口での送金の場合:
手数料 7500円 + 送金金額の1/20%
1回の送金の限度額なし
このように窓口での送金手続きをすれば、大きな金額のお金を1度で送金できるので便利である。TransferWiseで10回繰り返すのであれば、手数料そのものも変わらなくなる。しかし・・・・
銀行からの送金の場合、最大の問題は為替レートである。TransferWiseのように、市場の為替レートを使うのではなく、銀行の利益を乗っけた、銀行レートが使われるのだ。
現時点でのフィリピンペソと円の銀行レートは、0.4386/PHP/円だ。
TransferWiseでは、0.472PHP/円であった。この為替レートの差が大きいのである。
TrnasferWiseと三菱UFJ銀行で、1000万円を送った場合の手取りペソの違いを比較する
今回は、不動産取得用の資金の送金なので、送金元金を1000万円としよう。
TransferWiseでの送金
100万円の送金を10回繰り返す必要がある。
100万円の送金では、
- 送金手数料:9469円
- 送金原本:990531円
- レート:0.472
- 入金額:467530PHP
であった。これの10倍なので、
- 手数料:94690円
- 入金額:4,675,300 PHP
となる。
三菱UFJ銀行での送金
窓口から1回で1000万円の送金を行うものとすると、
- 送金手数料7500円+5000円(1/20%)=12500円
- 送金原本:9,987,500円
- レート:0.4386
- 入金額:4,380,517.5 PHP
上記のとおり、手数料は1回で済む三菱UFJ銀行の方が安く上がるが、銀行レートが非常に不利なために(ここでも銀行は利益を得るため)、結果的に入手できるペソは、TransferWiseで100万円を10回送金した方がお得ということになる。
このように、銀行を利用する場合には(その他のサービスでもそうだが)、為替レートの差が一番効くので、表面的な手数料の差だけで選んではいけないのである。
その他の送金サービス
PayForex
TrnasferWiseと同様の送金サービスであり、フィリピンペソ送金が可能だ。
100万円相当までの送金が1回で可能。手数料は、送金額によって異なるが、70万円以上は無料である。
現時点でのレートは、0.4651なので、入金額はそのまま、465,100PHPとなる。Transferwiseには(為替レート)及ばないが、1000万円なら(10回送金)ならこちらがお得かもしれない。
いずれにしても、TransferWiseとの費用計算比較を必ずする必要がある。
GCASH REMIT
1回の送金限度額が10万PHPまでであり、大きな資金の送金には使いにくい。
送金手数料は、最大で1530円(銀行振り込み時)。
現時点でのレートは0.4636であり、TransferWise, PayForexより若干不利なレートか。
手数料が安いので、少額の送金に利用するのが良いであろう。
その他、他にも送金方法はあるが、上記のものが利用できれば問題ないであろう。基本はもちろん円高の時に送金することである。大きな金額を送るほど、為替レートの差は大きく見えてくる。常に為替レートの変動を睨みながら、送金のタイミングを計るのがよいであろう。