横浜とか、かわいいもんである。
生まれてこの方、ずっと横浜育ちの筆者だが、まあ、たいていの買い物や用事は横浜で済ませることができる。
横浜駅周辺やみなとみらい地区、関内駅周辺の公官庁エリアなども、昔から開発されてはいるが、どことなく昭和の香り漂う田舎臭さもある。それがなんとも落ち着くのである。
なので、どうしても必要でない限りは東京にはでない。新宿や渋谷などはもっての他。現役時代の会社の本社があった東京駅周辺も、かなり行きたくないレベルである。
そんな横浜ローカルな筆者が、昨日、どうしてもの用事があって、日本経済の中枢とも言える、「大手町」に自力で行ってきたのである。まさに、そこは、想像を絶する世界、いや迷宮であったのだ。少し報告しよう。
大手町とはどんな場所なのか
名前は聞いたことがある方も多いのではないだろうか。
地図でみてみよう。
右下に見えるのが、天下の東京駅である。左にあるのは、恐れ多くも、皇居だ。
首都東京の要である東京駅と、国家の象徴である皇居に挟まれている、まさに東京の中心の中心ともいえる場所が、大手町なのである。
そもそも大手町とは、江戸城本丸の正面、表門を表す大手門に由来しており、江戸時代には大名の屋敷が建っていた場所とのこと。まさに、歴史的にも日本の中枢であったのだ。
地図でみると、赤丸で囲んだ所に大手町駅が表示されているが、実際はそんなレベルではない。
大手町駅を通る地下鉄には、
- 丸ノ内線
- 東西線
- 千代田線
- 半蔵門線
- 三田線
と、なんと5本の地下鉄が交差している場所なのである。なので、駅のホームで乗り換えという感覚ではなく、緑の線で囲まれた一帯に、各線の駅が集まって、それぞれが地下通路で接続されている、「地下鉄駅群」というイメージの方が近いであろう。
この地下通路は、一帯のビル群にも接続されており、緑の線で囲まれた2ブロック、3ブロックにまたがる一帯が地下で接続され、大きな都市を形成しているのである。
例えば、三田線大手町駅で降りて(地図ではもっとも南にある駅)、半蔵門線(地図では北を通っている)に乗り換えるには、ホームをまたぐというレベルではなく、少なくとも1ブロックぐらいの距離を延々歩かないと辿り着かない。地下通路をずっと歩くと、やっと、半蔵門線の大手町駅の改札に辿り着くという感じだ。
まさに、地下要塞、地下迷宮である。
大手町には何があるのか?
日本のなだたる企業がはいるビルが並んでおり、そこで働くエリート戦士たちが行きかう街なのだ。
地図を見ただけでも、読売新聞東京本社、経団連会館、大手銀行の数々、ありとあらゆる有名企業が集まっている。
ちょっと地上にでてみると、高層ビルが立ち並び、クラクラする。
道を一本隔てると、そこはすぐに皇居である。天皇陛下のすぐ側で、仕事しているわけだ。なんかとんでもない場所である。
いつも株式投資でお世話になっている、日経新聞の本社もここにある。
ありがたい経済情報を提供してもらっている記念に、本社受付ロビーにもお邪魔した。
このように、プロジェクター(?)で壁一面に経済情報が映し出されているカッコよさだ!
日経平均が下がっているのが、いただけないが・・・
さすがに、日本トップのメディアである。
このブログにも、結構な頻度で日本のメディア批判を書いており、個人的には日本のメディアを軽蔑している。しかし、日経新聞と東京MXは別だ。東京MXは朝のモーニングCROSSなど、非常に個性的で良質な番組作りをしていると感じる。まあ、モーニングCROSSの個人的なファンという事なのではあるが(今はもうTV見ていないので、番組が現在どうなっているのかは知らないが・・・)
しっかりと、社会問題、issueを取り上げていたり、日本の内々の話だけでなく、世界の課題を取り上げるのもよい。朝の視聴率争いの厳しい7時台に、しっかりした使命感を持った報道番組を作っている。番組冒頭に、なんの飾り気もない地味な東京ローカルニュースコーナーを延々放送するのも潔い。
日経新聞は、もちろん政治・経済に関するあらゆる情報を収集し、公開しており、くだらない興味本位の人気取りのニュースを面白おかしく扱うような事がないのが良い。日本の経済の課題、将来展望に対して、もっと新聞社としての意見を述べてもらっても良いぐらいだ。
あくまでも、個人的な見解である。
大手町で想うこと
このように、まさに日本の経済のコアである大手町。訪れたのは平日のちょうど昼時であった。
企業の入っている高層ビルの地下街は多くのレストランがあり、ランチを食べに大勢の企業戦士たちが行き来していた。
日本の有名企業をささえている人々である。みな、忙しそうに、しかし仲間同士で和やかに、うちの近所よりは平均で200円は高いランチセットを食べている。女性陣はみなシュッとした服装をまとい、男性陣はもうクールビズだ。
エリート戦士たちが行きかう中、汚いジーンズにTシャツ姿の無職・無収入の自分が観光気分でダラダラと歩いている。ぽつんと一軒家状態である。隣の無職無収入の人を探すには、5キロは歩かなければ見つかりそうもない。
我ながら、自分浮いてるな~~と感じながら、所用を済ませたのである。
東京の中枢では働いてなかったけれど、ほんの数か月前までは、まったくもって、この企業戦士の一員だったのだよな~。と、つくづく不思議な感じがする。
人の立場って、こうも一瞬で、こうも簡単に180度変わることがあるのだな~とも。
もしかしたら、変われないと思っていたのは間違いで、変わろうとしなかっただけなのかも、とか。
地下街の隅に立ち止まって、急ぎ足で行きかう戦士たちに、ちょっと以前の自分の姿を重ねて、なんとなくぼけっと人の流れを見ていたのである。もはや、なつかしくもあり、大きな隔たりを感じたり、とても不思議な感覚だった。
すぐに正気を取り戻し、しかし日経平均戻りが遅いなぁと文句を言いながら、また地元横浜に帰るために、企業戦士たちの迷宮を再び歩き始めたのであった。